お葬式情報
コロナ禍のお葬式に参列した感想~家族葬と一日葬はどう変わった?~
2020年1月に日本で最初の新型コロナウイルス感染者が確認されてから、2年以上になります。その間、私たちの生活はさまざまな面で大きく変化しました。それでは、お葬式はどのように変わったのでしょうか?今回は、家族葬と一日葬に参列する機会があったので、参列の際に感じたことをまとめました。
家族葬・一日葬でコロナ前とコロナ禍で変わった点と変わらない点
コロナ前と変わらない点
コロナ禍の家族葬、一日葬は、コロナ前の家族葬や一日葬と比べ、葬儀の流れや儀式そのものに大きな違いはありませんでした。
参列者数は、故人の家族構成や年齢、社会的な立場などさまざまな要因によっても変化するので一概には言えません。ただ、私が参列した葬儀に限って言えば、参列者の人数は従来の家族葬、一日葬よりやや少ない印象でした。
コロナ前と変わった点
一方で、コロナ前のお葬式と変わったと言える点としては、参列者も喪主も宗教者も葬儀社のスタッフも全員マスクを着用していたこと。そして通夜振る舞い、精進落としがお弁当だったことです。
葬儀でのマスクの着用については、コロナウイルスが蔓延し始めたころは、「焼香の時にはマスクを外した方が良いか?」「喪主がマスクを着けたまま挨拶しても失礼にあたらないか?」「葬儀では黒いマスクを着用するべきか?」といったマナーについて心配する方もいたようです。
しかし、日常でもマスク着用が定着している今、焼香の際も全員マスクを外すことはありませんでしたし、喪主が挨拶に立ったときもマスクを着用したまま、挨拶をしていました。マスクの色も白で、日頃使用している不織布のマスクです。
コロナ禍の家族葬の内容
私が参列した家族葬は、葬儀会館で行われました。通夜、葬儀告別式と2日間行われる一般的な家族葬です。故人は亡くなる数年前から高齢者向けの施設に暮らし、最期は施設で息を引き取りました。
故人:Aさん(女性)
喪主:故人の長男
葬儀の種類:家族葬(通夜、葬儀・告別式)
祭壇:生花祭壇
事前相談:有
参列者数:約15名
場所:葬儀社のセレモニーホール
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事前相談をしていたため、コロナ禍でも葬儀の打ち合わせはスムーズ
以前から葬儀社に事前相談を行い、見積りも出してもらっていたので、亡くなった後は施設で簡単にお体を整えた後、すぐに予定していた葬儀社の安置室に移ることができました。
すでに家族葬で行うことも決めていたので、葬儀の打ち合わせも家族葬プランの内容と費用の確認という具合に順調に進みました。葬儀社やプランの内容にもよるのかも知れませんが、数年前の見積りと金額に大きな変更はありませんでした。
コロナ禍の通夜振る舞い、精進落とし
参列した家族葬では、通夜振る舞いは弔問客一人一人にお弁当が渡され、セレモニーホールの会食室で食べるか、持ち帰るかはそれぞれの判断に任せるというスタイル。コロナ前の葬儀と最も違いが大きいと感じた点です。
コロナ前の葬儀では、お通夜の後に通夜振る舞いの席が設けられているのが一般的でした。
通夜の後、弔問客は通夜振る舞いの席に案内され、食事やお酒を共にしながら故人を偲びます。通夜振る舞いに案内されたら、たとえ忙しくても断らずに、故人のため一口でも箸を付けるのがマナーとされていました。
また、通夜振る舞いの料理は、個々に用意されているというよりは、テーブルごとにお寿司やオードブルなどが大皿で並んでいて、弔問客が食べたいものを個々のお皿に取り分けて食べるという形式でした。
喪主の希望とコロナウイルス感染予防の折衷案
実は、家族葬の料理については喪家内でも意見がわかれたそうです。
事前相談を行った時点では、新型コロナウイルスのことなど誰も予想していませんでした。そのため、料理はセレモニーホールの会食室で行うプランとなっていました。
喪主は、女手一つで育ててくれた母親の葬儀はきちんとしたものにしたいと、通夜振る舞いや精進落としは、「たとえコロナ禍であっても中止にはしたくない」と強く希望していました。
しかし喪主の息子は、葬儀が原因で新型コロナウイルス感染症が拡大したら大変なことになると心配しました。故人は決してそんなことは望んでいないだろうし、喪主自身も高齢ということもあり、飲食はしない方が良いと主張しました。
こうした意見の対立を受けて、葬儀社からは次のような提案がありました。
・(通夜振る舞いでも)参列者ごとに個別に料理を用意し、オードブルなど大勢で一つのお皿から食べるような料理は用意しない
・テーブルにアクリルのついたてを用意し、飛沫感染を予防する
しかし喪家の意見はまとまりません。しばらく話し合いを続けた結果、
・参列者の人数分、お弁当を用意する
・セレモニーホールで飲食するか、持ち帰るかは参列者の個々の判断に任せる
ことで落ち着きました。
最後に「お弁当だけでは味気ない」という喪主の強い希望で、セレモニーホールの会食室で行う通夜振る舞いの席では単品の料理を追加し、アルコールも提供されました。
なお、翌日の葬儀・告別式の後、火葬場から戻ってからの精進落としも、通夜振る舞いと同様、お弁当での提供となっており、セレモニーホールで食べるか持ち帰るかは参列者の個々の判断に任されました。
参列者の選び方
参列者は親族を中心に集まりましたが、他県に住む親戚は代表者が1名参列していました。都内に住む親戚も小さなお子さんがいる家は不参加としました。また近隣の方も代表者1名が参列していました。
参列するべきか否か、参列者が迷わなくて済むように、葬儀の連絡をする相手は極力少なくし、残りの人については喪中はがきで連絡することにしたそうです。
コロナ禍の一日葬
コロナ禍の一日葬も、葬儀の流れなどに違いはありませんでした。火葬場からは葬儀会館には戻らず、そのまま解散となりましたが、その際に精進落としのお弁当が配られました。
参列者はなるべく少なく、都内在住の親戚のみで、高齢者や子供は参列しませんでした。公共の施設で、数十人規模で使える式場だったため、座席は間隔を空けてゆったりと座ることができました。
喪家は葬儀の事前相談は行っておらず、葬儀社は親戚の紹介で決定しました。
コロナ禍の家族葬、一日葬で特別な演出等はあった?
コロナ禍の葬儀では、祭壇の前で参列者の記念撮影があるなど、以前の葬儀とはやや異なる点もありました。
祭壇の前での記念撮影
コロナ禍の家族葬では、祭壇の前で参列者全員が並び記念撮影を行いました。
もともと祭壇の前での記念撮影は北海道などで行われていた風習のようですが、コロナ禍では同じ都内にいながらも日頃会えないこともあり、こうした記念写真を撮ろうということになったようです。
参列の時間帯をずらすことはなかった
コロナ禍の家族葬、一日葬でしたが、大人数が一度にセレモニーホールに集まらないよう参列する時間をずらすといったことはありませんでした。
今回参列した葬儀に関しては故人が高齢だったこともあり、もともと参列者の予想数も少なかったので、こうした対応は必要なかったのでしょう。
葬儀の模様のライブ中継はなかった
コロナウイルスが流行し始めた当初は、葬儀のライブ配信といったサービスも話題になりましたが、実際にはそうしたサービスは利用されませんでした。
参列者のスマホを用いて参列できなかった方へ動画を送ることは可能だったでしょうが、今回私が参列した家族葬、一日葬ではそうした動きもありませんでした。
祭壇の画像などは喪主の許可を得て、自由に撮影できました。また棺の中、故人の耳元にスマホを置いて故人の好きだった落語を流すなど、親族は思い思いのお別れをしていました。
まとめ
コロナ禍の家族葬、一日葬では、葬儀そのものについてはコロナ前と比べても大きな変化は見られませんでしたが、遺族や参列者のちょっとした希望などについて葬儀社が柔軟に対応して、かたちにしていたと思います。
現在、多くの病院では新型コロナウイルス感染防止対策のため、お見舞いの時間なども制限されています。
故人と満足のいくお別れができず心に大きな負担を抱える遺族にとって、従来の葬儀にとらわれない、家族の気持ちに寄り添った葬儀が、これまで以上に求められているのではないでしょうか。