お葬式情報
火葬式とは?~特徴や流れと注意点~
火葬式とは、通夜や葬儀・告別式を行わない火葬のみのお別れです。シンプルなお別れで費用も安くおさえられるという理由から選ばれることも多いようです。一方で、故人とのお別れの時間が短い、菩提寺のお墓に納骨できないこともあるといったデメリットもあります。この記事では火葬式の特徴や流れ、費用、そして火葬式の注意点などについてご説明します。
火葬式とは
火葬式とは、通夜や葬儀・告別式を行わない火葬のみのお別れで、直葬(ちょくそう・じきそう)とも呼ばれます。
故人を安置、納棺した後、火葬場に移動して火葬をするというとてもシンプルなものです。通夜も葬儀もないので祭壇は飾らず、参列者も一般的には呼びません。その分、費用は安くおさえられます。
歴史的に見ると、火葬のみのお別れは、もとは経済的に余裕の無い方や、諸事情によって公に葬儀を行いたくないという喪主や遺族のために、ある意味特別なプランとして、ひっそりと執り行われていました。
しかし、インターネット等で葬儀についての情報発信が広く行われるようになると、火葬式も家族葬や一日葬と同じように葬儀プランのひとつとして取り扱われるようになり、広く知られるようになりました。
今では、ただ火葬するだけでなく、納棺の際に棺に花を入れて故人とお別れをする納棺の儀や、火葬場の炉前で読経をしたりといった簡単なセレモニーを行う火葬式プランも登場しています。
こうした火葬式に対する姿勢やサービスは葬儀社によっても異なりますので、火葬式を選ぶ際には値段だけではなく、どの葬儀社に依頼するかということも大切です。
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火葬式の特徴
火葬式にはシンプルで費用が安く抑えられるというだけでなく、通夜や葬儀がないため原則無宗教でのお別れになる、お別れの時間が短いといった特徴があります。
費用が安い
火葬式の大きな特徴、メリットは、費用を安く抑えられることです。一般的な火葬式プランでは20万円台、さらに安い火葬式プランでは10万円台というものもあります。家族葬や一日葬のプランと比較しても半分からそれ以下の価格です。
ただし価格が安いぶん、火葬式プランに含まれている内容は限られています。ささやかでも納棺の儀式をする場合は別途、費用がかかることも少なくありません。また、通常、葬儀社の火葬式プランには火葬料は含まれていません。火葬料は別に用意しておくことが必要です。
ポイント! 火葬式とお香典
火葬式では多くの場合参列者は呼びません。そのためお香典による収入はほとんどないと考えてよいでしょう。ただし火葬式だからお香典を受け取ってはいけないというわけではありません。香典を受け取るか辞退するかは喪主が判断します。
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原則、無宗教のお別れになる
火葬式では通夜や葬儀・告別式がないので、葬儀を執り行う宗教者もいません。読経など宗教的な儀式はなく、お布施も必要ありません。
なお、火葬場の炉前で読経してもらう場合には、宗教者へのお礼は必要となります。
また、火葬式だからといって戒名を授かることができないわけではありませんし、火葬式の後、位牌を作ることも可能です。お寺によって考え方は異なりますが、まずは相談してみましょう。
時間が短い
通常、火葬式で行うのは火葬のみです。そのためごく短時間でお別れが終了します。火葬場の炉前で読経をしてもらったとしても10分~15分くらいでしょう。
また、炉前で読経することでその後の火葬のスケジュールが遅れてしまうことを避けるため、炉前でのお別れを断られる場合もあるようです。
きちんと時間をかけて故人とのお別れをしたい場合は、火葬式ではなく、一日葬や家族葬を選んだ方が良いでしょう。
火葬式の流れ
逝去から火葬まで、一般的な火葬式の流れは次の通りです。
搬送・安置
葬儀の打ち合わせ・見積もり
死亡届の提出
納棺・出棺
火葬
搬送・安置
病院や施設で亡くなると、葬儀社が専用の車(寝台車)でご遺体をご自宅や斎場、専用の施設など安置先にお連れし安置します。
ご遺体の安置後、家族葬など通常の葬儀では枕飾りを用意し、宗教者に枕経をお願いしますが、火葬式の場合、原則、宗教的な儀式は行いません。
ただし火葬式プランによっては通常の葬儀同様、枕飾りや仏衣が含まれているものもあります。
なお、安置施設を利用する際には故人との面会が可能な時間など確認しておきましょう。
葬儀の打ち合わせ・見積もり
葬儀の担当者とプランの内容や火葬式の日取り、費用などについて、打ち合わせを行います。
死亡届の提出
葬儀を行わない火葬式でも、役所の手続きは必要です。死亡届が受理されないと火葬許可証は交付されず、火葬ができません。
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡したときは、その事実を知った日から3か月以内)に、亡くなった方の死亡地、本籍地、または届出人の所在地の市役所、区役所、町村役場です。
一日葬や家族葬など通常の葬儀の場合、死亡届の提出は葬儀社が代行してくれるケースも多いですが、火葬式のプランに寄っては手続き代行が含まれていない可能性もあります。
納棺・出棺
ご遺体を棺に納め、愛用品など副葬品を棺に入れ、火葬場に向けて出棺します。安置場所で喪主や遺族たちで棺の中の棺の中の遺体の周りを花で飾ったり、簡単なお別れの儀式を行うこともあります。これを「お別れの儀」や「納棺の儀」「お花入れの儀」などと言います。
格安の火葬式のプランでは、遺族たち自身で納棺を行わなければならないプランもあります。また、出棺や納棺はすべて葬儀社に任せて、喪主や遺族たちが火葬の時間に直接火葬場に集まる火葬式もあります。
一口に火葬式といってもその内容はさまざまです。どこまでを葬儀社に頼み、どこまでを自分たちで行うのかをよく考えた上で、ふさわしいプランを選びましょう。
火葬
火葬場では炉前で最後のお別れをし、炉の中に棺を納めます。喪主は火葬後、遺骨を骨壺に納め、火葬式は終了します。
火葬式の注意点
火葬式はシンプルで費用が安い反面、親族の理解が得られない、菩提寺で納骨できないといったトラブルにつながる恐れもあります。
火葬式を選ぶ場合にはこうしたマイナス面もよく考えた上で、実情と照らし合わせて決定しましょう。
親族の理解が得られない
火葬式は通夜や葬儀・告別式がありません。そのため従来の葬儀をイメージしている親族の中には、故人をないがしろにされているように感じる方がいたり、葬儀のないお別れを受け入れられないという方もいらっしゃる可能性があります。
きちんと説明して理解を得ることはもちろんですが、事前に説明したときは納得してもらえたはずなのに、後になって苦情を言われることもあるので注意が必要です。
菩提寺のお墓に納骨できない
火葬式で、菩提寺のお墓への納骨を断られる恐れもあります。
宗旨・宗派によっても異なりますが、葬儀の役割のひとつとして、葬儀という儀式を行うことで一般の方を仏弟子とし、浄土に旅立つことができるようにするという考え方があります。
火葬式では葬儀という宗教的な儀礼が省略されるため、故人が仏弟子として認められず、菩提寺のお墓に納骨できないといったケースです。
お寺によって考え方はさまざまなので確認は必要ですが、菩提寺のお墓に納骨できない場合、改めて菩提寺で葬儀をやり直したり、または宗教不問の霊園や納骨堂・樹木葬墓地などで、新たにお墓を求めたりといった対応が必要となることがあります。
実際の火葬式がイメージと違う
火葬式の場合、インターネット等の情報からイメージするものと実際の火葬式との間に後からギャップを感じることも多いようです。
シンプルな火葬式だからといって葬儀者との打ち合わせを省くのではなく、プランに含まれているものなどについても確認し、本当に希望するお別れができるのかどうか。また不足するものがある場合にはどのような解決方法があるのか、確認しましょう。
葬祭費が支給されない恐れがある
国民健康保険の被保険者が亡くなった場合、申請することで、喪主など葬儀を行った人に葬祭費が支給されます。葬祭費の額は各自治遺体によって異なります。
ところが火葬式を行った場合、葬祭費が支給されないこともあるようです。自治体によっても判断は異なるようですが、火葬式が葬儀として認められないといった理由が考えられます。
火葬式が選ばれる理由
火葬式を選ぶ人の中には経済的な理由だけでなく、経済的には余裕はあるものの火葬式を選ぶということもあります。
例えば生前ほとんど交流のなかった、身寄りのない、遠い親戚の葬儀を任されてしまい、やむを得ず火葬式を選ぶといったケース。また、故人が高齢で参列者もほとんどいないため、とにかくシンプルなお別れにしたいといったケースなど、その事情はさまざまです。
まとめ
火葬式は、今では家族葬や一日葬に並ぶ葬儀のかたちのひとつとして、広く知られるようになりました。各葬儀社もさまざまなプランを出しており、価格も内容もさまざまです。
しかし、古くから行われてきた通夜や葬儀には、単なるしきたりや慣習として片付けられない、先人の知恵も織り込まれている可能性もあります。価格だけを考えて、闇雲に儀式を省略してしまうと、大切な人とのお別れのプロセスで必要なことを失ってしまい、後から後悔する恐れもあります。
シンプルな火葬式だからこそ、どこでも同じというのではなく、信頼できる葬儀社に依頼することをおすすめします。