お葬式情報
お香典とは?~お香典の意味と相場。上書きの書き方~
家族葬が今ほど知られていなかった時代、お葬式にたくさんの人が参列していたころは、大勢の弔問客の対応に追われて、喪主をはじめ遺族たちが「故人とゆっくりお別れをする時間もない」といった批判がありました。しかし参列者が多い分、1回のお葬式で集まるお香典の額は大きく、喪家の経済的な負担の軽減には役立っていたようです。
今回はそんなお香典の持つ意味やお香典に包む金額の目安。またオンライン決済のお香典など、最近のお香典事情についてご説明します。
お葬式のお香典
お香典は古くは「香奠」と書きました。「奠」という字には「供える」という意味があるように、香典には、故人にお供えするお香の代金という意味があります。
しかし、室町時代には、武士の間ではお香典を金銭で渡されていた記録があるようですが、一般にお香典にお金を包むようになったのは都市部では明治時代、地方では昭和も戦後になってからといわれています。
それ以前には、親族など故人と近しい人たちが喪家に米や麦など食料を贈っていました。贈られた食料は、遺族や葬儀を手伝う人々のための食事に使われていたようです。また、近隣の人たちも食料を持ち寄るなどしていました。
故人の供養になるということから、葬儀の時には喪家が人々に食事を振舞っていたようですが、香典には喪家の経済的な負担を補う意味もありました。
遺族を支える香典は、その地域の人たちがお互いを支え合う、相互扶助の仕組みでもあったようです。
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お葬式のお香典の目安
お香典に決まった額はありませんが、故人や喪家との関係によって相場はある程度の目安はあります。一般的に近親者ほど香典の相場は高くなります。
お葬式のお香典の相場・目安の金額
一般的な香典の目安は次の通りです。故人や喪家との関係や地域性によっても異なります。
故人との関係と香典の目安
地域の人の場合:3,000円~5,000円程度
親族などの場合:1万円~5万円程度
家族などの場合:5万円~10万円程度
新生活運動のお香典
戦後の復興期には、形式だけの儀礼を廃止し、合理的で文化的な生活を目指す、新生活運動という社会運動の機運が高まりました。
葬儀のお香典や香典返しも、親族や葬儀に参列する地域の人にとっても負担が大きいという理由から、例えばお香典は一律1,000円、香典返しは辞退し礼状だけにするというようにルールを設ける地域もありました。
今でもこの取り決めが残っている地域では、お香典の額は一律となっており、お葬式の受付も一般の受付と新生活の受付とに分けている場合もあります。
香典辞退
参列者への負担を掛けたくないなど、さまざまな事情から喪家がお香典を辞退する場合もあります。
「香典を辞退します」という案内があった場合は、無理にお香典をお渡しするとかえって喪家に迷惑となる恐れもあります。
どうしても故人への気持ちを伝えたい場合も、喪家に負担にならないよう配慮が必要です。供花や供物をお贈りする、後日改めて進物用の線香などをお贈りするといった場合も、あらかじめ喪家の意向を確認してからとした方が良いでしょう。
なお、一般の弔問客からのお香典を辞退しても、親族からのお香典は受け取る場合もあります。念のため葬儀に参列する際にはお香典の用意はしておいた方が無難です。
また、喪家もお香典を辞退する場合には、参列者が迷わないように事前にその旨をお伝えしましょう。
【ポイント】~お香典の額は偶数はNG?~
偶数の数字は「割り切れる」ことから、「故人との縁が切れる」ことを連想させるため、仏事では避けた方が良いといわれています。そのため、お香典の額も2万円や4万円と偶数は避け、1万円、3万円と奇数になる額を包むのがマナーといわれています。
しかし、実際には2万円など偶数の額を包む地域もあります。お香典だけでなく、お葬式や法要など仏事に関することは地域や宗旨宗派によって違いも多いため、わからないことは親戚や菩提寺、葬儀を依頼した葬儀社などに確認することをお勧めします。
お香典の上書き
お香典は不祝儀袋に入れて渡します。
お香典の上書きは仏式の場合、一般的には「お香典」または「御仏前」とします。
四十九日までは「御霊前」、四十九日を過ぎた後の法要では「御仏前」とするという説もありますが、宗派によって異なる場合があります。
例えば、浄土真宗では亡くなると人はすぐに浄土に行くので「霊」は存在しないとされています。そのため、四十九日前であってもお香典の上書きに「御霊前」とは書きません。
神式のお葬式の場合「玉串料」、キリスト教式のお葬式では「御花料」というように、お香典の上書きは宗旨・宗派によって異なります。
わからないことは菩提寺や葬儀社などに確認しましょう。
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お香典のオンライン決済
最近ではスマートフォンで訃報の連絡などを行うサービスと共にお香典をオンライン決済できるサービスも登場。葬儀に参列しなくても簡単にお香典を送ることが可能です。
お香典のスマホ決済については、そうしたサービスを葬儀社が導入しているかどうかにもよりますので、気になる場合は事前相談などで確認してみると良いでしょう。
今後、こうしたサービスがどのように発展していくのかはわかりませんが、家族葬など参列者の少ないお葬式が増える中、お葬式に参列はできないけれど、喪主や遺族を少しでも支えたいという気持ちを表すには便利かもしれません。
まとめ
最近では家族葬が増え、さらにコロナ禍の影響もあって、お葬式も社会的な役割は薄れ、親族の間での儀式という意味合いが強くなっているように感じます。
お香典についても、身内だから多く出し合って経済的に支え合うという考え方もあれば、内輪のことなので辞退して、お互いに負担を減らそうという考え方もあるようです。
お葬式と同じように、お香典も時代にあわせて変化を続けていますが、遺族を助け、支えようという気持ちは、時代が変わり、姿を変えても受け継がれていくのではないでしょうか。
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