お葬式情報
お葬式と法要のお布施~お布施の意味と場面に応じた目安、渡し方~
近年、お葬式の費用についてはインターネット等でも情報がたくさん公開されるようになり、一昔前に比べても大変わかりやすくなりました。
さらにコロナ禍においては参列する人の数も限られるようになったため、変動費となる飲食や返礼品といったお葬式以外の費用も、事前に試算がしやすくなっています。
一方、お葬式で導師を務めてくださったり、法要を執り行ってくれたお坊さんにお渡しするお布施は、その性質上、定められた金額がありません。そのため、お布施の額で頭を悩ます喪主も多いようです。
この記事では、葬儀や法要の場面ごとに、おおよそのお布施の目安の金額についてご紹介します。
お布施とは
お布施とは、葬儀や法要を務めるお寺や僧に、感謝の気持ちとしてお渡しするお金のことをいいます。
読経料や戒名料という言葉も使われますが、これらも本来はお布施のひとつです。読経や戒名(法名)の対価として支払うものではありません。
3つのお布施とその意味
お布施とは、仏教の修行のひとつで、僧や困っている人に自分の所有しているものを与えるというものです。
人々に仏の道を伝える法施、僧や貧しい人に財産を分け与える財施、そして恐れを取り除く無畏施の3つがあり、これらを三施といいます。
現在では、「お布施」というと三施の中でもお寺や僧に財産を施す財施を指すのが一般的です。
お布施の使われ方
お布施は、葬儀や法要で読経する僧に支払うものではなく、そのお寺の本尊にお供えするものです。
お布施はお寺の維持や、布教など活動のために用いられます。
お布施の相場・目安とは
お布施には定められた金額はありません。「お気持ち」といって、お布施を出す人の判断に任されています。
しかし、実際にはお葬式や法事など、お布施を出す場面や、またそれぞれの地域などによって、ある程度の目安、相場はあります。
お葬式の種類によっても、例えば通夜と葬儀・告別式を行う一般葬や家族葬と、通夜を行わない一日葬でふさわしい額は変化します。
また火葬式や直葬、無宗教葬というように宗教者を呼ばないお葬式では、お布施も必要ありません。
葬儀のお布施の相場・目安
通夜と葬儀・告別式のお布施の目安は15万円から50万円くらいといわれています。
家族葬や一日葬というように葬儀の種類、地域や宗派、それぞれのお寺によってもお布施の額は大きく異なります。
また、お坊さんの人数が多いとその分、お布施として包む額も増えます。
なお、インターネット等で、お布施が数万円といった僧侶派遣サービスの案内もありますが、条件もありますので利用する際には事前に内容を確認することをお勧めします。
戒名料の相場・目安
戒名料は、葬儀のお布施とは別に用意することもありますが、一般的には葬儀のお布施に含めてお渡しすることが多いようです。
戒名料の金額は、数万円から多い場合には数百万円と、幅があります。これでは目安にならないと思われるかもしれませんが、戒名のランクや宗派、お寺の格などによってもその金額は大きく変わるのです。
さらに、故人の生前の社会的な地位や菩提寺への貢献度などによって、ふさわしいとされる戒名のランクも異なります。
地域の慣習やお寺の考え方などもありますので、わからないことは親戚やお寺に尋ねてみる、または葬儀の担当者に確認し、アドバイスを求めるのも良いでしょう。
法要のお布施
法要には、四十九日法要までの忌日法要、一周忌法要、三回忌法要など年季法要、さらに納骨やお盆などの法要があります。
それぞれ法要によって、ふさわしいとされるお布施の相場は異なります。
しかし、法要のお布施の相場は葬儀のお布施よりは安く、例えば四十九日法要のお布施は、葬儀のお布施の1割くらいが目安といわれています。
忌日法要のお布施の目安
初七日法要:3万円~5万円程度
四十九日法要:3万円~5万円程度
年忌法要のお布施の目安
一周忌:3万円~5万円程度
三回忌法要:1万円~5万円程度
七回忌法要:1万円~5万円程度
お盆・新盆でのお布施の目安
お盆法要:5,000円~2万円程度
新盆法要:3万円~5万円程度
納骨式でのお布施の目安
納骨法要:1万円~5万円程度
開眼法要:1万円~5万円程度
《コラム》お布施に4万円はNG? ふさわしくない金額とは
一体いくら包めば良いのか?それだけでも悩ましいお布施ですが、高い・安いだけでなく、「避けた方が良い」といわれる金額もあります。
例えば、2で割り切れる数字は、「故人との縁が切れる」とか、4や9という数字は「死(4)」「苦(9)」を連想させるのでふさわしくないとか。
しかし、いずれも語呂合わせで、根拠のあるものではありません。
その他お坊さんに渡す費用
お坊さんに葬儀や法要をお願いする場合、お車代や御膳料など、お布施のほかにもお渡しするお礼があります。
お車代
お車代とは、お寺以外の場所で葬儀や法要を行う際にお渡しするものです。
葬儀式場やお墓まで出向いていただいたことに対するお礼で、 5,000円〜1万円程度が相場といわれています。
遠いところをお越しいただく場合にはお車代も多めにお渡しするなど、ある程度距離も考慮しますが、お坊さんの移動にかかった交通費を実費で支払うということではありません。
御膳料
御膳料の相場は5,000円〜1万円程度です。
葬儀の後のお斎や法要の後の会食にお坊さんが参加しない場合にお渡しします。
お坊さんが食事に参加する場合は、御膳料は必要ありません。
お布施を渡すタイミングと渡し方
葬儀や法要のお布施は、いつお坊さんに渡さなければならないという決まりがあるわけではありません。
お葬式や法要の始まる前、お坊さんに挨拶をする際に、お布施をお渡しすることが多いようです。
菩提寺以外のお坊さんに導師を依頼する時など、葬儀の担当者にお坊さんの都合の良いタイミングで声をかけてもらうと良いでしょう。
お布施をお渡しする際には、切手盆に乗せる、またはお布施を包んでいた袱紗の上に乗せてお渡しします。
まとめ
お葬式にかかる費用の中でも、特に難しいといわれるお布施について、ご説明しました。今回ご紹介したお布施の目安が、必ずしも全てのお寺で当てはまるものではありません。
ふさわしいお布施の額という問題は、個々のご家庭とお寺との関係による、きわめてプライベートな問題だからです。
お布施に包む額を考える際には、これまでのお寺とのお付き合いと同じように、これから将来にわたってお寺とどのようにお付き合いをしていきたいかということもあわせて考えてみると、良いかもしれません。